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zx81 Laboratory

単身赴任先で住んでいるくたびれたワンルームの近くに古い公園がある.広い敷地内にはサイクリングコースもあるので,ふと思い立って,買ったままであまり乗ってない自転車で走って来た.

木漏れ日の中を,行く夏を惜しむようにゆっくり走っていると,からだのなかに澱んで凝り固まっていたものが少しづつ溶けて風に流されていく.退屈な日常に追われてとげとげしていた気持ちが和んでくるのがわかる.風に吹かれて走りながら子供たちの姿を見ていると,遠い夏の日の思い出がいくつもとりとめとなく浮かんでくる.ふと思い出したそれに意識を向けようとすると,まるで逃げるようにひとつひとつの思い出は風に乗って後ろに飛んでいく.それが面白くて,うっすら汗ばむまで走った.